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2014.08.29
「怖い」を語る(後編)
#プランナー

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スタッフブログをご覧の皆さま、こんにちは。怪談大好き・プランナーKです。

 

今回は【プランナーK、「怖い」を語る(後編)】という事で、前編に引き続き日本のホラー映画の話題を絡めながら「恐怖心を掻き立てる」あれやこれやを語っていきたいと思います。

 

前編はコチラ↓

/staffblog/2014/08/post-31.html

 

 

■観客に想像させる取っ掛かりと余地を与える

私の周囲には「日本のホラーは海外のホラーとは比べ物にならないほど怖い」という人が多いのですが、それは日本のホラー映画は「観客に想像させる」のが上手いからではないかな、と思うのです。

 

例えば「女優霊」という作品。公開当初は「怖くない」という意見も多く、その要因の一つに「幽霊の顔を見せすぎた」事が挙げられたそうです。

(ちなみに私は好きです。柳ユーレイさんの頼りなげな演技と相まって、全体的に観客の不安を煽って来るあの雰囲気がたまりません)

 

その反省点が同監督の代表作である「リング」で活かされ、日本を代表するヒロイン・貞子さんの「ほぼ素顔を晒さない」という描写に繋がった……との事。

(全てWiki情報)

 

これは素顔をはっきり見せない事で観客の想像力を刺激するという狙いがあったのだと思うのです。

 

言われてみれば確かに、女優霊ラストシーン(霊の素顔が判明する)よりも、未現像のフィルムに映った「ゲタゲタ笑ってるようだけど、肝心の顔が分からない」というシーンのほうが怖ろしかった印象。よく「昔のホラーゲームはグラフィックが粗い分、余計に怖かった」という意見を耳にしますが、もしかしたら同じ理由でそう感じるのかもしれません。

 

では何故、想像力を刺激すると恐怖度が増すのでしょうか?……おそらくそれは、人間が「分からない事を不安に感じる」習性にあるからだと思います。

 

自分以外誰も居ないはずの自宅で突然物音が聞こえてきたら、まぁ大抵の人は音の正体を確かめにいきますよね。つまり音の正体が「分からない」から「不安」になって確かめにいくわけです。更にそこで不安な状態が継続すると、次第に「泥棒が入ったのかも」とか、私のような想像力豊かな人間だと「見えないお友達かも」とか、悪い方向に想像を膨らましていきます。

 

まぁホラー映画で同じようなシチュエーションになれば観客は十中八九「幽霊」ないし「殺人鬼」の仕業かなと予想するわけですが、どこにソレが潜んでいるのかは分からないままですから、観客が勝手に想像を膨らませて不安に陥るという状況が出来上がるのです。

 

わざと空間に空きを作ったり、肝心な部分をぼかしたり、微妙な間を挟んでみたり。

 

日本の映画は想像させる取っ掛かりや、想像を広げさせる見せ方・間の取り方が独特で、それが「海外の作品に比べて怖い」と言われている一つの理由なのかなと思います。

 

ホラー映画の結末で、謎を残したままだったり、この後も呪いは続く!といった展開が多いのも「観終わった後も存分に想像して怖がってネ!」という監督のやらしー意図があるからかもしれませんね。

 

怖がりな私は、そんなホラー映画を見終えるたびに開眼シャンプーというセルフ拷問を強いられます。

 

 

■印象に残る演出

ホラー映画の仕掛けとしてよく見られるのが、ド派手な音と演出で瞬間的に観客を驚かせるいわゆる「ドッキリ系」ですが、映画を見終えたあと「心臓に悪いだけであんまり怖くなかった」という感想もよく耳にします。

 

観客の感情を揺さぶるには持ってこいで、展開のメリハリを付けるのに度々利用される仕掛けですが、下手な驚かせ方をするとそれまでじわじわと観客に与えていた「怖い」という感情まで吹っ飛んでしまうのかもしれません。

 

もちろん、ドッキリ系の演出が駄目だ!というわけではありませんが、印象に残るシーンとなると、ただドッキリするだけじゃなく、もう1つ観客の想像を上回るスパイスが要るのかなぁと思います。

 

例えば、映画「リング」のクライマックスで貞子さんがコンニチワーするシーン。呪いのビデオというギミックを上手く使い「テレビから這い出て来る」という当時の観客が誰も予想していなかった方法で攻めてきたからこそ、日本のホラー映画を代表する名シーンと言われるに至ったのではないでしょうか。

 

ホラー映画で印象に残ったシーンを思い返してみると、

 

「何かが起こるのは分かっていた。しかしインパクトがそれを上回った」

 

といったものが殆どだったります。前編で記載した劇場版 呪怨もまさにそれですね。「どんでん返しのストーリー」であったり、「過激な肉体欠損」であったり、各作品によってそのインパクトの種類は違いますが、どんな形であれ作品の肝を握る事に変わりはありません。それぞれに合った演出や仕掛けをしっかり考えないと、せっかくの見せ場なのに終わってみたらあまり印象に残らなかった……なんて事にもなりそうですね。

 

 

……と、こんな感じで2回に渡り長々と語ってきましたが、如何でしたでしょうか?私見まみれの内容でしたが、「ホラー苦手!……だけど興味はある!」という方の背中を少しでも押せたらいいなぁと思っております(笑)。

 

以上、USJのバイオハザード ザ リアル2や、梅田のお化け屋敷など、まだまだ今年の夏が終わりそうもないプランナー・Kでした!